「どんな靴もあわない」と深刻なフィッティングのトラブルを抱えている場合、パターンオーダー用のフィッティングサンプルをお試し頂いても、フィットしている部位が少なく、靴の中での足の入り方そのものに問題があることがあります。そのような場合の多くは、「モディファイドオーダー」では対応が難しく、「フルスクラッチオーダー」をご提案することになります。どのような靴を履いてもあわないことには必ず原因があります。その原因を靴と足との関係で解明し、足の形状、特徴を余すことなく反映させたラストを制作するフルスクラッチオーダー。「どんな靴もあわない」、その気持ちと足に徹底的に向き合います。

「モディファイドオーダー」とフルスクラッチオーダーの違いはラストの加工度の違いばかりではありません。フルスクラッチオーダーは靴の完成に至る途中で「仮フィッティング」という仮の靴によるフィッティングの検証が入ります。難易度の高い難しい足では、仮フィッティングを数回行うこともまれではありませんが、靴の本制作へは仮フィッティングを受けて、フィッティングの問題にほぼ目処がついた段階で進みます。もちろん仮フィッティングではフィッティングの他、靴の形やデザインも大切なチェック事項となります。フィッティング、形、デザイン、ひとつひとつの納得を経て靴をつくる、そのために仮フィッティングがあります。

フルスクラッチオーダーでは全モデルよりお好きなデザインをお選びいただくことができます。また、デザインのアレンジはもちろん、さらにそれを一歩進めたオリジナルのデザインもオーダーいただくことができます（一部オーダーをお断りする場合もあります）。100を超える全種類の豊富なアッパーレザーのストックの中から好みの素材を吟味すること、完成する靴のイメージを思い描きながら、ソールの細かな仕様を検討すること、気付けば、これまでの靴を選ぶ苦労がきっと、靴をつくる楽しさに一変しているはずです。